LLMの基礎 ⑥:RAGとは?

RAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張)について。

RAG(検索拡張生成)は、大規模言語モデル(LLM)の弱点を補いながら、より正確で有用な回答を生成する技術として注目されています。

 

RAGとは?

RAG(検索拡張生成)は、大規模言語モデル(LLM)の出力を向上させるために、外部データを検索(Retrieval)して活用しながら回答を生成(Generation)する手法 です。

RAGが注目される理由を以下に。

1. LLMの知識の限界を補える

問題点:

LLMは事前学習したデータに基づいて応答を生成するため、新しい情報や特定の業務データにアクセスできない。

RAGによる解決:

  • LLMの回答を外部データ(企業のナレッジベース、ドキュメント、論文、Web情報など) で補強できる。
  • これにより、 最新情報や専門的な知識を参照しながら回答を生成可能になる。

例: AIチャットボットが、社内のFAQや最新のニュース記事を検索して正しい情報を提供。


2. “幻覚”の抑制(ハルシネーション問題)

問題点:

LLMは、学習データに基づいて最も可能性の高い単語を並べるだけなので、 事実でない内容(ハルシネーション)を生成することがある。

RAGによる解決:

  • RAGは検索した事実ベースの情報を元に回答するため、間違った情報の生成リスクを減らせる。
  • LLM単体よりも、エビデンス(根拠)を提示できる。

例:

  • RAGなし →「2025年のオリンピック開催地は?」と聞くと、間違った都市名を答える可能性あり。
  • RAGあり → 最新のニュースサイトを検索して正確な開催地を回答。

3. 企業向けAIの導入を加速

問題点:

  • 企業のドキュメントや顧客データをLLMにそのまま学習させるのは難しい。
  • プライバシーやセキュリティの問題もある。

RAGによる解決:

  • 企業のデータ(PDF、メール、チケット履歴など)を検索し、適切な情報をLLMが利用する形にできる。
  • 外部データを都度検索するため、モデルの学習コストを削減し、セキュリティのリスクも軽減できる。

例:

  • カスタマーサポート → 過去の問い合わせデータを検索し、適切な回答を自動生成
  • 法律・医療分野 → 最新の法律や診療ガイドラインを参照して助言を生成

4. リアルタイム性と柔軟性が向上

問題点:

  • 一度トレーニングされたLLMは、新しい情報をすぐには学習できない。
  • 最新ニュースやトレンドを取り入れられない。

RAGによる解決:

  • 検索データを動的に取得できるため、常に最新の情報を利用可能。
  • LLMの事前学習を待たずに、新しい情報に対応できる。

例:

  • 金融業界 → 最新の株価情報を参照して投資アドバイスを生成
  • Eコマース → 在庫状況や最新のプロモーション情報を考慮した商品提案

5. コスト効率が良い

問題点:

  • LLMの事前トレーニングには莫大なコストがかかる。
  • 毎回、巨大なモデルをフルに動かすのは非効率。

RAGによる解決:

  • 必要なデータを検索することで、LLMの推論コストを抑えつつ高精度な回答を実現。
  • 必ずしも大規模なモデルを使わなくても、検索データ+小規模LLMで高品質な応答が可能。

例:

  • 小規模LLM + RAG → コストを抑えつつ、ChatGPT並みの性能を出せる。

 

ほなほな。